認知症の初期症状。怒りっぽいのは危険なサイン?
スポンサーリンク
認知症の問題は私にとっても他人事ではありません。
現在両親ともに健在ですが、先日のこと父母が言い争いをしていました。
父が運転免許証を外で無くしてきたから、運転免許センターへ再交付してもらいに行ってくる。と言いだしたのですが、免許センターは自宅から直線距離で70kmもあり、父にとって土地勘は全くありません。
「そんな所まで電車とバスで86歳の老人が一人で行ったら危ないし、多少時間はかかるけれど地元の警察でも再交付してもらえるのだから」と母が止めても、「免許が無かったら大好きなマレットゴルフに行けない」と言いだしたら家族の意見などに耳を貸しません。
「元々頑固な性格な父が最近更に怒りっぽくなってきた」と、母が愚痴をこぼします。
最終的には母が折れて、母の運転で免許センターへ明日行くという話になりました。そして、翌日になり、これから出かけようと車へ向かった母が、たまたまマレットゴルフの道具の脇に入り込んだ父の運転免許証を見つけたのでした。
最近、自分の言った言葉や、自分が片付けた物の置き場所を忘れる事が増えこの先が心配です。
身内や近所で似たような経験を聞いたという方も多いのではないでしょうか?
前置きが長くなりましたが、認知症の初期に現れる症状とその対応、
そして、認知症の進行を遅らせる方法をお話します。
怒りっぽいのは認知症の初期症状?
怒りっぽい人=認知症?
もちろん怒りっぽい人全てが認知症というわけではありません。
その人の性格的なものもありますし、高齢者の場合脳の老化によって感情や理性をコントロールする機能が低下することで、喜怒哀楽の差がより大きくなる場合があります。
または、若い頃は社会や地域の中で必要とされて活躍していたものが、定年退職や育児から開放されると周りから頼られることが少なくなり、孤立感を感じるようになり自己アピールの一つとして怒りという表現をする場合もあるのではないでしょうか。
認知症から来る怒りっぽい症状の原因は
認知症には原因となる病気に3大認知症というものがあり、それぞれに怒りの症状との関係を見ていきます。
アルツハイマー型認知症
このタイプが認知症全体の6割を占めています。なので認知症というとアルツハイマーというイメージがありますね。
症状の特徴としては記憶障害があります。他の人から見ると物忘れに見えますが、本人にとっては体験したこと自体を記憶できていないので、思い出すことは出来ないのです。なので約束事などについて忘れたと責めると喧嘩になる事があります。
また、大事なものが無くなった、盗まれたと身近な人を責める「物盗られ妄想」という症状もあります。
これは自分で物を置いた場所を忘れてしまい、誰かに取られたと妄想してしまうものです。
【どう対応したら良いか】
大事なのは単に忘れたのではなく、記憶されていないという事を周りが理解し、約束事は大きくメモして目につく所に貼っておくと良いです。
また、物盗られ妄想の対応についてですが、疑いをかけている時は興奮している場合が多く、否定するとかえって逆上させてしまいます。なので「無くなったんだね。一緒に探してみよう」と探すふりをして、頃合いをみて話題を変えて話をそらしましょう。
脳血管性認知症
感情の起伏が激しく、天気の話をしただけで泣き出したり、機嫌良さそうにしていたので声を掛けると突然怒り出す事もあります。
【どう対応したら良いか】
突然怒り出す・泣き出す行動の裏には「言い方が嫌だったとか、今はこれをしていたかった」など理由が有ることも多くあります。
なのでどんな時によく怒っているかなどを観察して、ポイントを掴むと介護がしやすくなります。
レビー小体型認知症
このタイプの特徴は、実際にはその場に存在しない人や物が見える「幻視」という症状があらわれます。
本人には、そこに存在いして見えるので、否定すると自分を騙そうとしているとか、バカにされていると感じ怒り出したり暴力を振るうことが有ります。
【どう対応したら良いか】
幻視に対しては、本人には見えているので否定してはいけません。
話に合わせておいて、頃合いをみて別の話題で注意をそらしましょう。
前頭側頭型認知症
感情のコントロールや理性的な行動などに関わる脳の部分が萎縮してしまうため、人格が変わり怒りっぽくなることが有ります。また、このタイプの認知症は決まった時間に同じ行動を、天候などに左右されずに繰り返さないと気がすまず、行動を止めさせると怒り出します。
【どう対応したら良いか】
目にしたものに影響されやすく、こちらが笑顔なら笑顔で、怒った顔なら怒った顔で返して来るので笑顔で対応することが大事です。
同じ行動を繰り返すことは、本人の心の安定に繋がるので出来るだけ環境や日課は変えない方が良いです。また、雨降りに外出しようとした時などは、「ちょっと待ってと」呼び止め、今までと別の話題を持ち出して気を反らすことで外出する事を忘れる場合があります。
その他の認知症の初期症状は
●同じことを何度も言ったり聞いたりする
●物忘れが多くなる
●以前あった興味や関心が失くなる
●料理などの複雑な作業ができなくなる
●同じ服ばかり着たり、衛生管理ができなくなる
●今までの性格からは考えられない行動や言動が増えた
これらの項目に複数該当する場合は認知症の可能性があります。
認知症の進行を遅らせる為に
認知症は早期に発見して、早期に治療を開始すれば症状の進行を遅らせられます。
軽度の段階の認知症であれば、薬物療法や生活指導やリハビリテーションなどの適切な治療によって進行を食い止められます。早期に医師による適切な診断と治療をうけましょう。
まとめ
認知症は病気であり、その初期症状として怒りっぽくなってる事を理解して対応することが大事ですね。
例えば、あなたが重い胃の病気で、その症状として激しい腹痛を家族に話したところ、理解してもらえず逆に腹痛を否定されたとしたら、重い病気を抱えたあなたのショックは大きいですよね。
重い胃の病気=認知症、激しい腹痛=怒りっぽいとすると、認知症患者の怒りに対し反発したり無視したりという反応は良くないですよね。
一方、介護をする立場の人からすると、一生懸命世話をしているのに怒られたり泥棒扱いされたりしたら精神的に追い詰められてしまうでしょう。
そんな時は、家族間で問題を共有し対応するとか、専門医や地方自治体の担当窓口へ相談するなどして一人で抱え込まない事が大事だと思います。