1歳未満の乳児にハチミツはなぜ危険?乳児ボツリヌス症の症状と治療法

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2017年4月にハチミツを食べたことが原因とみられる乳児ボツリヌス症で、生後6ヶ月の男児が亡くなるという悲しい事件がありました。

恥ずかしい話ですが、3人の子供を持つ父親として「乳児にハチミツを与えるなという常識があることを知りませんでした」(^_^;)

一体なぜ、ハチミツが駄目なのでしょうか?

また、乳児ボツリヌス症の症状と治療法について調べてみました。

乳児ボツリヌス症とは

通常のボツリヌス症とは異なり、ボツリヌス菌の種のような芽胞(がほう)を摂取することで起こる病気です。

芽胞は乳児の体内で発芽し、ボツリヌス毒素を作り出します。原因としてハチミツや黒糖の食物が考えられます。

また、芽胞は高温に強い為、一般的な加熱調理ではハチミツの中の芽胞を死滅させることは困難です

乳児ボツリヌス症は腸内の機能が未発達である乳児の腸管内で菌が発芽・増殖した毒素により起こる病気ですが、成人では上部消化管でボツリヌス芽胞を不活化させられるので一般的にはかかることが無いのです。

 

1987年10月に厚生省通達により

1歳未満の乳児にハチミツを与えてはならない

だそうです。

 

なぜハチミツにボツリヌス菌があるのか

ハチミツとはミツバチが花の蜜を採取し、それを巣の中で加工、貯蔵したものです。

ボツリヌス菌は酸素を嫌い大気にふれることで死滅してしまう為に、土壌中や湖沼に広く生息しています。菌のいる土壌に生える植物は芽胞で汚染されていて、その蜜をミツバチが採取することでハチミツ内に蓄積されていきます。

 

乳児ボツリヌス症の症状と治療法

症状

ボツリヌス症は神経麻痺症状が主で、対称性に麻痺が起こり、呼吸筋の麻痺にまで進行することがあります。突然の発症から、数日かかって徐々に発症する場合もあります。
乳児ボツリヌス症はボツリヌス芽胞を摂取し、腸管内で産生された毒素による発症で潜伏期間が3~30日と長いのが特徴です。
原因として菌または芽胞に汚染されたハチミツを飲み込むことで起こります。初期に便秘、活気がない、哺乳不良、泣き声が弱い、さらに筋緊張性低下、よだれが多い、首のすわりが悪くなった、眼球運動の麻痺、無呼吸などがでてきます。

引用:http://senoopc.jp/

治療法

呼吸筋麻痺を起こすことがあるので、呼吸管理が必要です。ボツリヌス多価抗毒素血清を過敏症がないことを確かめて、できるだけ早期に投与します。

引用:http://senoopc.jp/

とにかく乳児にハチミツを与えないようにすることが大事ですね。

また、母乳を通して芽胞が乳児へ渡ることはないのでお母さんがハチミツを食べても問題ありません。

ただし、乳児の手の届く所へ置いたり、ハチミツの付いた食器を乳児に使うことがないように注意しましょう。

 

ボツリヌス菌の怖さ

ボツリヌス菌は自然界に存在する毒素としては最強力なのです。(^_^;)

致死量は体重70kgの人に対し0.7~0.9μgだそうで、たった1gのボツリヌス菌で約100万人分の致死量に相当するのです。(因みに猛毒として知られる青酸カリの致死量は1gで5人だそうです)

ボツリヌス症の治療は

中毒症状を発症した場合、抗毒素はウマ血清のみ。毒素の型毎に抗毒素もある。一般に「食餌性ボツリヌス症に対する抗毒素の投与は発症から24時間以内が望ましい」とされるが、24時間以上経過での投与でも効果が有ることが報告された中毒になってから用いても効果がない

 

過去に辛子蓮根を食べた36人の内、11人がボツリヌス症で死亡したという事件もありました。

 

まとめ

生後6カ月の赤ちゃんにハチミツ入りのジュースを飲ませていたところ、呼吸不全などの症状が出て救急搬送されたが、その後に死亡しました。

東京都は乳児の便やハチミツからボツリヌス菌が検出されたため、死因はボツリヌス症と断定しました。

死亡例は国内で初めてだそうです。

今後、同じことが起きないように、国や自治体は乳児へのハチミツの危険性を十分に周知させて欲しいと思います。

 

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。